“Jazzつれづれ草”のMy Favorite Musician でもふれたスコット・ラファロは私の最も好きなプレーヤーの一人だから、彼の参加したレコードはできれば全て持っていたいが今すぐ血眼になって集めたいとは思わない。ご存知のようにラファロは早死にしたので録音自体それほど多くないからコンプリートコレクションもさほど難しくないと思う。それでもごく初期のバディー・モロー楽団での録音などは珍しい方だと思うが、これとてモロー楽団はダンスバンドだったからラファロの出番は間違いなく少ないはずだし、ただリズムを刻んでいるだけであればあまり興味は湧かない。私は所謂コレクターと違い対象のプレーヤーの出番が少なかったり、あるいは出来の悪いレコードは殆ど買わない。ましてやデザイン違いやレーベル違いで同じレコードを集める趣味はさらさらない。ただ音の良いレコードであれば捜し求めたいとは思う。
そうは言っても未発表の映像や音源となると話は違ってくる。特に未発表テープはそのプレーヤーの研究には欠かせない。さて私が熱心に集めている未発表の音源や映像にもそれぞれランクがあり、門外不出の、例えば放送局やその関係者、あるいはプレーヤーだけが持っている音源、映像をランク1とすれば、NHKなどでつい最近放送された、あるいは放映されたものなどはランク5といえる。私も昔はある程度の(ランク3ぐらい)音源であれば少々音が悪くても集めていたが、最近は時間も無いのでランク1や2ぐらいのもの以外にはあまり興味がなくなった。
そんな折、ごく最近(2005年はじめ)ヒョンなきっかけでスコット・ラファロの映像を手に入れることができた。これなどさしずめランクを付ければ間違いなくランク1といえるだろう。私は昔からラファロの映像も一つぐらいあってもよさそうだ、と考えていたし、先ず無理とは承知でエヴァンスとの映像があれば最高と思っていた。もっともこちらが希望しても当時映像を撮っていなければどうしようもないので、ラファロであればどんなものでもとは思っていた。このような一級の(私が勝手に思っているだけだが、、、)アイテムは、かなりのコレクターでも持ち合わせていないと思う。「ラファロの映像?持っているよ」とある人から(ジャズプレーヤー)からさりげなく言われた時は実にびっくりした。ただそこからが大変だ。喉から手が出るほど欲しかったが、交換トレードとして見合うアイテムをこちらが用意できるか?まさか金銭トレードというのも相手に失礼だし、、、と困っていたらこちらの顔をじっと見つめていた相手はやおら「ビル・エヴァンスなんか無い?」ときた。しめた!!!相手はアメリカ人だからヨーロッパでの映像プラス何か珍しいものでもあればいけるかも?とこちらが提供できるアイテムを幾つか言うと「OK、OK」と気安く言ってくれた。世評どうりこの人は本当にいい人だ。ただ約束をしたのが2004年の秋で、待てど暮らせど一向に届かない。一月ぐらいであれば、お正月ではないが指折り数えて待つのも楽しい。それからそれとなく、いやみにならない程度に1回だけ様子を聞くためメールを送ったが返事なし。それがある日忘れた頃(実際には1日足りとも忘れなかったが、、、)郵便屋さんが小さな小包袋を届けてくれた。長くトレードをしていると、差出人を見なくても、大きさと袋の顔で大体察しがつく。念の為差出人を確かめるとバッチリ!!!細かく動く(震えると言いなさい!!)指で開封するとお目当てのDVDと4枚のCD-R。この4枚のCD-Rもランク2!!!これについてはいずれ又、、、。
さてさて本題に入るのが大変遅くなった。今回入手できた映像をご紹介すると、撮られたのは資料によれば1958年4月7日、LAの某TVスタジオで、当時西海岸で放映されていた“スターズ・オブ・ジャズ”シリーズのひとつ。この“スターズ・オブ・ジャズ”は確か1956年ぐらいから3年ほど続いていたジャズ番組で、ビール会社のバドワイザーがスポンサー、歌手ジュリー・ロンドンの旦那さんでもあったボビー・トループが司会を務めていた。今コレクターの間でシリーズの中の幾つかは出回っているが、私の持っているものも含めて、いずれも画像は良くない。残された写真、資料、音などから判断して当時のウエストコーストの一流どころが出演していて、私が興味があるのはアート・ペッパーやウォーン・マーシュ/テッド・ブラウンのグループ、そしてロニー・ボールなどもある。マーシュ/ブラウンの音は最近CDとなって出回っている(フレッシュサウンド)が音はかなり良い。ロニー・ボールは未だ未発表だが私の手元にあるものは音も悪くない。
たびたび脱線してしまったがこのラファロの入った映像、リーダーはリッチー・カミューカ(ts)フランク・ロソリーノ(tb)ヴィクター・フェルドマン(p)スタン・リーヴィー(ds)。映像の状態は私の持っている同シリーズの物よりわずかに良い。詳しいファンの方であれば、このときの演奏はLPで発売済み?と察せられるかもしれない。そのとうり、これはヴァンテージ・レコードNLP-5007 “KAMUKA・FELDMAN・TJADER Featuring Scott La
Faro”として日本のノーマからでていた。レコードではCherry,Deep In A Dream、Chart
Of My Heartの3曲が収録されていて、ピアニストがカール・パーキンスと間違ってクレジットされていた。こちらの映像では1、2曲目とレコードと同じ順序で演奏が続き、その後ルース・プライスが登場して2曲、フロントが抜けたフェルドマンのトリオをバックに歌っている。このプライス、黒い髪で日本人好みの可愛い顔をしている。その後、トループと地元DJとのお話、バドワイザーのコマーシャル(これがなかなか良い)と続き、クインテットによるChart
Of My Heartと最後のテーマ(これはレコードには入っていない)に合わせて、トループがお別れの挨拶をする。お目当てのラファロはというと、珍しくあごひげを生やし、アップテンポの曲ではかなり体を揺らしながらベースを弾いており、とても雰囲気がある。曲によってはごく短いがソロもとっていて見ごたえがある。ラファロはこのTV番組に3,4回出演しているから他にも映像が残っている可能性があるにはあるが、、、。いずれにしてもこの“スターズ・オブ・ジャズ”、正式な手続きをふんで出せないものか?きっと話題になるに違いない。尚この映像とは違う、やはりラファロの、どんな資料にも載っていないお宝音源も最近手に入れた。1958年、カナダのバンクーバーでの演奏で、リーダーはハロルド・ランド、ピアノにエルモ・ホープという興味深い組み合わせ。音質もまずまず、80分の演奏である。いずれご紹介したい。 |