思い出のコンサート
- その1 -
HERBIE STEWARD IN YAMAGATA
中学2年生の時からジャズを聴き始めてから40数年経った。今思い出してみると、最初に行ったコンサート(ジャズ)は確か高校1年生か2年生の時の、OSCAR PETERSON TRIOの、横浜の県立音楽堂でのコンサートだった。以来、Kenny Dorham,Jackie McLean, Freddy Hubbard, Benny Golsonが入ったTHIS IS JAM SESSIONと続き、多くのコンサートに行った。 勿論、海外でのコンサートや、クラブなど懐かしい思い出がたくさんある。どれもが今でもはっきりと記憶に残っているのだが、一番思い出に残っているのは、Herbie Stewardの山形でのコンサートである。


この時のメンバーはGene DiNovi(p),David Young(b)、木村由紀夫(ds)で私が招聘したものを、Zoot Simsの研究で有名な、山形のオクテットのマスター、相沢 栄氏にご無理を言って開催していただいた。1992年5月のことである。この時の記録は、
“Herbie'sHere”というCDとなって残っている(マシュマロレコード)。


何故、このコンサートが今でも強く印象に残 っているかといえば、演奏の素晴らしさは勿論のこと、母を亡くした直後だったこと(このときの一週間で、5キロ痩せた)、そして何よりも、相沢氏の御厚意と、会場Studio OZをうずめつくしていただいたファンの方々の大きな声援だった。


此の時のコンサートは、ローカルテレビ局で放映され、いまでも私の手元にクリアーな映像でビデオに残っている。それを見るたびに、今でも感動で胸が熱くなる。開演前、メンバーに、「今日は最後のコンサートだから、特別一曲、GOOD BYEをやってもらえないか?」と申し出たところ、Stewardはにこりと笑って、「わかった」といってくれた。これは第2部のラストに演奏されたのだが(Stewardはクラリネットで吹いた)私の生涯で聴いた同曲の中で、最も感動したものだった。私はステージの端でこれを聴いていたのだが、色々な思いが突然こみ上げてきて、おもわず涙がこぼれたのを今でも思い出す。大袈裟かもしれないが、JAZZを聴いてきて本当に良かったと、つくづく思ったものだった。


その山形に今年の10月、Steward のコンサートでピアノを弾いていたGene DiNoviのトリオでまた行く事ができる。今回のこのトリオは本当に素晴らしいグループで、間違いなく感動して頂ける、と確信している。その機会に、美味しいおそばも食べたいし、美味しい肉も食べたい。それと、何時でもホッとさせてくれる“オクテット”とオーナーの相沢氏、それから私の知る限り、日本で最も熱心なヤン ラングレンのファンである、美人で魅力的なMさんにも会えるかと思うと、今から山形でのコンサートが待ち遠しくてしかたがない。


Steward や Jan Lundgrenのコンサートでつくずく思ったのだが、山形や仙台のファンの暖かさは格別だ。これは東北という土地柄と無関係では全くない。演奏者の熱いメッセージを、ダイレクトに、そしてて素直に受けとめていただく感受性を強くおもちのファンが多いからだと思う。演奏者という人種は、これをたちどころに感じとるから、Herbie Stewardの名演が山形で生まれたのに何の不思議はない。